昨年4月にパソコンのモニタ用とテレビの兼用として、LGの4Kテレビを購入しました。仕様を良く調べず、買ってから気が付いたことは、ピクチャ・イン・ピクチャ(PinP。メイン画面の中に小さなサブ画面を表示する親子表示機能)が使えないことでした。現在使っている2011年に購入した安いモデルのブラビアでも、PinP機能があって、パソコンモニタとして使いながら、画面の端にテレビ放送の表示ができたので、調べるまでもなく、PinPはあるだろうと思っていたのでした。
昨年時点の判断としては、LGの4Kテレビは、ダントツの安さだったので、納得しようと思っていますが、納得しきれていなかったりもします。モヤモヤとして気持ち悪いのでした。当時のテレビのラインナップは調べられないので、現在のライナップで、ピクチャ・イン・ピクチャがあるのか調べてみました。
1. ピクチャ・イン・ピクチャによる2画面表示
2011年に購入したソニーのブラビア(KDL-32EX72S)では2画面表示が可能でした。ソニーの中では安い方のモデルなので、テレビには、2画面表示機能は当然のものと思っていたのです。前回の記事を書く際に少し調べてみましたが、2画面表示機能がある機種が意外と少なさそうだったので、改めて、探し直してみました。
2画面表示には、図に示すように二つのケースがあります。一つは、左右分割する場合(Picture by Picture, PbyP, PbP)と親子表示する場合(Picture in Picture, PinP, PiP)です。欲しいのは、パソコン出力を親にして、地上波を子にする親子表示です。価格コムで調べてみると、2画面表示機能で検索できますが、PinP表示できるか、どうかは、それぞれの機種ごとに調べる必要があります。
(a) 製品説明のイメージ図。引用元:製品ページ
(b) 実際の画面。親画面は外部入力(FireTVの出力)
左側がPbyP表示、右側がPinP表示。PbyP画面内では右がFireTV、左が地上波。PinP画面では親画面がFireTV、右上の子画面が地上波。 PbyPの画面サイズは可変。PinPの子画面は、(a)のイメージ図よりも大きい。
ソニーBRAVIA KDL-32EX72Sの2画面表示。
2. 調査対象のリストアップ
価格コムで、「画素数:3840x2160、画面分割」の条件で検索すると、LG、シャープ、ソニー、パナソニック、東芝の82製品がリストアップされます(検索結果)。
条件に画面サイズを37型~46型を加えると、40型、43型の計11機種がリストアップされます(検索結果)。
価格コムの検索条件の「画面分割」は、PinPとPbyPを区別していないので、機種毎に調べる必要がありますが、11機種となると、全機種確認できそうです。
これに生産終了等でほとんど流通していない製品を除外し、Amazonなどを調べているうちに見つかった機種を加えて調査しました。調査対象となった機種は、以下の通りです。但し、LG 43UF7710は、PinP非対応ですが、筆者が購入したモデルなので、調査対象にしています。
AQUOS LC-40U30 製品ページ シャープ 40V型 AQUOS 4K 液晶テレビ リッチカラ―テクノロジー搭載 LC-40U30 |
AQUOS LC-40U40 製品ページ シャープ 40V型 AQUOS 4K 液晶テレビ HDR対応 高精細4K低反射液晶パネル LC-40U40 |
AQUOS 45US40 製品ページ シャープ 45V型 AQUOS 4K 液晶テレビ HDR対応 リッチブライトネス搭載 LC-45US40 |
LG 43UF7710 製品ページ LG 43V型 4K液晶テレビ IPS 4Kパネル/ウルトラスリムボディ/WebOS2.0 43UF7710 画面分割非対応(筆者購入) |
LG 43UH6100 製品ページ LG 43V型 4K液晶テレビ HDR対応 IPS4Kパネル 直下型LEDバックライト スリムボディ Wi-Fi内蔵 外付けHDD録画対応 43UH6100(2016年モデル) |
LG 43UH6500 製品ページ LGエレクトロニクス 43V型 4K 液晶テレビ UH6500シリーズ HDR対応 IPS4Kパネル スリムボディ Wi-Fi内蔵 43UH6500 |
LG 43UH7500 製品ページ LG電子 43V型4K対応液晶テレビ 43UH7500 |
VIERA TH-40DX600 製品ページ パナソニック 40V型 4K 液晶テレビ VIERA 4K TH-40DX600 |
VIERA TH-40CX700 製品ページ パナソニック 40V型 4K 液晶テレビ VIERA 4K TH-40CX700 |
VIERA TH-43DX750 製品ページ パナソニック 43V型 4K 液晶テレビ HDR対応 VIERA 4K TH-43DX750 |
BRAVIA KJ-43X8500C 製品ページ ソニー 地上・BS・110度CSデジタルハイビジョン液晶テレビ BRAVIA X8500C 43V型 KJ-43X8500C |
REGZA 43J10X 製品ページ 東芝 43V型 4K 液晶テレビ REGZA 43J10X |
3. シャープ
結論からいうと、シャープのAQUOSが、PinPが可能な唯一の4Kテレビです。PinPが必須ということであれば、AQUOSを選択することになります。
シャープについては、AQUOS LC-40U30、LC-40U40、LC-45US40の3機種を調査しました。マニュアルによれば、AQUOSは、PinPとPbyPに対応しています。さらに、面白い機能としてはスマホの画面をMiracastで転送してPbyPする機能もあります。
引用元:取扱説明ガイド
引用元:AVwatch。 PinPに対応。子画面のサイズは、大中小から選択。画像は、LC-45US40の中サイズ。
シャープAQUOSの2画面表示
4. LG
価格コムでリストアップされたのは、43UH6500と43UH7500です。これに、私が購入した43UF7710とアマゾンで購入可能な43UH6100を加えて比較します。
LGの公式ページで仕様を比較しても、仕様には画面表示の記載がありません(仕様比較)。どこに違いがあるのか、探すと、LGのテレビOSであるWebOS3.0の機能の一つとして、画面分割が追加されたようです(LG英語版ページ)。WebOS2.0では、画面分割はサポートされません。UH6100, UH6500, UH7500はWebOS3.0で画面分割には対応しています。一方、UF7710は、WebOS2.0で画面分割には対応していません(実機で再確認しましたが、やはり機能はありません)。
さて、LGの2画面表示機能ですが、マニュアルを読んで見ても、左右への画面分割で親子表示には対応していないようです。
LGのWebOS3.0における画面分割。引用元:カタログ(17ページ)
LGは、親子表示には対応していない。
5. パナソニック
パナソニックからは、VIERAのTH-40DX600、TH-40CX700、TH-43DX750、TH-40AX700の4機種が検索で残りましたが、このうち、TH-40CX700とTH-40AX700は生産終了品です。TH-40AX700については価格も高く、取り扱いも一店舗だけなので、除外し、残った3機種を比較します。
パナソニックの2画面表示は、マニュアル(DX600(pp.107), DX750(pp.112), CX700(pp.109))によれば、以下のような左右表示(Picture Out PictureとPicture By Picture)で、親子表示(PinP)はないようです。
親子表示には対応していない。
6. ソニー
調査対象は、BRAVIA KJ-43X8500C。2015年モデルで既に生産は終了していますが、一応調べてみました。新しいモデルでは、画面分割機能をサポートしていません。
ホームページの説明によると、2画面表示は、PbyPのみで、PinPはありませんでした。
ソニーBRAZVIAの2画面表示。 引用元:BRAVIAのFAQ
7. 東芝
東芝のREGZA 43J10Xは、2014年モデルですが、一応、調べてみました。PbyPのみの対応で、さらにHD(1920x1080)よりも解像度の大きい信号には対応していませんでした。東芝も現行モデルでは、画面分割をサポートしていません。
東芝REGZAの2画面表示。 引用元:東芝HP
8. 最後に
あまりにも、PinPの対応機種が少なかったので、サイズ・解像度を限定せず、画面分割機能の有無を調べてみたところ、現行モデルで発売しているのでは、シャープ、パナソニック、LGのみのようです(検索結果)。画面分割機能は、テレビ視聴用途ではほとんど使わない機能なので、削られてしまったということでしょうね。
さらに、PinPとなると、対応しているのは、シャープのみです。
PinPは、パソコン用モニタとしてテレビを使う場合、重宝する機能なので、各社が対応しなくなっているのは残念です。
(2017/1/31)